2019年8月7日 (水)
8020運動という言葉を一度は聞いたことがあるかと思います。これは「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という目標を推進する運動です。これは厚生労働省と日本歯科医師会が平成元年(1989年)より行っています。
20本以上の歯があれば、肉や魚など大体のものは不自由なく食べることが出来ると言われています。
1999年の調査では、80歳で20本以上の残存歯を持つ人の割合は15%でした。しかしその後の調査では2005年に21% 、2016年には51%と着実に上昇しています。
みなさんは毎日歯磨きをしていると思いますが、「完璧に磨けている」という方はなかなかいないものです。
歯医者で定期検診の時には、歯と歯の間や奥歯など磨き残しやすいところのクリーニングもしてもらえるので虫歯の予防になります。さらに虫歯のチェックをする事で早期発見につながります。
定期検診の際には歯周ポケットのチェックや歯肉の炎症の有無をチェックします。
日本人の35歳以上の80%は歯周病と言われています。予防のためには若い頃からの定期的な歯石除去が大事です。歯石は自分では取れないため、歯科医院で取ってもらいましょう。また、長らく歯医者に行っておらず歯石も何年も取っていないという方は、ぜひ検診に行って歯周病のチェックと歯石除去をしてもらいましょう。
検診ではまず歯茎の状態をチェックします。
大人の場合、歯周ポケット検査をして歯肉炎や歯周炎がないか確認します。子供でも磨き残しが多いと歯肉炎になることもあるのでチェックします。
もちろん虫歯が無いかどうかもチェックします。虫歯が発見された場合は、患者さまにお見せして治療をご提案します。
一般的に歯に付着した磨き残しのことを「歯垢」と言います。この「歯垢」が多く付いている場合には、歯科医師や歯科衛生士がブラッシングの指導をします。
普段から磨き方に悩んでいる方は、この機会にいろいろ質問してくださいね。
歯垢は唾液中のカルシウムを吸収して石灰化し、やがて歯石となります。歯石は歯の表面に固くこびりついていますので歯ブラシでは取れません。歯石を取らずに長く放っておくと歯周病になってしまいます。「歯茎から血が出る」「口臭が気になる」「歯が浮いた感じがする」などの症状は歯周病のサインなので早めに受診しましょう。
また、歯石だけでなくコーヒーやお茶などの茶しぶによる着色汚れもクリーニングしてもらえます。歯がキレイになってスッキリしますよ。オススメです。
歯石を除去する時には主に「超音波スケーラー」という器具を使います。これは超音波で振動しているチップを歯石に当てて歯石を除去する仕組みです。この時、歯肉に炎症があると若干痛みを感じることがあります。特に長い間歯石を取っていなかった場合は痛みを感じやすい傾向にあります。痛みの感じかたには個人差がありますが、お痛みに敏感な方は麻酔して歯石を取っていく方法もありますので、歯科医に相談しましょう。
定期的に検診を受けて歯石を取ってもらっていると、歯肉の炎症が少ないので歯石を取る時のお痛みはそれほどでもありません。
どんなに丁寧に歯を磨いていても、「磨き残しがゼロ」という人はほとんどいません。
そのため最低でも6カ月に1度は検診を受け、歯石を除去してもらうのが理想的です。
しかし、6カ月も経たずに歯石が付いてしまう人もいるので、1年に3回から4回くらい定期検診を受けている方もいらっしゃいます。
定期検診にかかる費用は、保険の負担割合が3割負担の場合で2000円〜3000円になります。仮に1年間に3回検診を受けたとすると
年間6000円〜9000円、これを20才〜60才まで40年間続けたとすると、24万円〜36万円かかることになります。
もし、定期検診を怠っていて虫歯や歯周病になってしまったらどうなるでしょう?
一例として、虫歯が深く神経までいってしまった場合の治療費を考えてみましょう。
神経治療(根管治療)が終わるまでに、おおよそ1万円弱かかります。(保険診療3割負担の場合)
その後、土台をたてて被せ物をするわけですが、セラミックの被せ物をすると10万円前後かかります。
通院は6〜9回ほどかかりますから、歯医者に通う時間や交通費も含めて考えると、皆さまはどう思いますか?
もしも歯を失ってインプラントにする場合は、1本で35万〜40万円ほどかかります。
仮に、定期検診をせずにいて歯周病が進行すると、糖尿病や高血圧、心筋梗塞などの病気にもかかわってきます。
これらの事をふまえて考えた場合、検診を定期的に受けて健康な状態を保ったほうが、生涯医療費は結果的に安くなるのです。
これは歯科に限らず医科の分野でも同じ事が言えます。
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